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2011. 7.15.Up Dated.
投資の勧誘
 
 震災後に一時下火になった投資の勧誘セールスが復活したようで、外国為替や金取引、商品取引等の勧誘の電話が頻繁に掛かってきます。勧誘してくれるのは、何れも聞き覚えのない会社で、仕事中にこういう電話が掛かってくるのには閉口しますが、勧誘セールスの対象となる商品はオルタナティブ投資商品になっています。株式や債券の勧誘というのは先ずありませんし、REITも対象外になっているようです。以前は、未上場株式の投資話や不動産投資の勧誘もありましたが、震災後は鳴りを潜めていて、前述のオルタナティブ投資商品をしつこく説明してきます。 彼らがどう思っているのかは分かりませんが、電話セールスの材料になる投資商品はそれだけで胡散臭さが付きまといますから、どうしても商品イメージが低下します。
そういう意味では、REITが電話セールスの対象にならないのは良かったですが、その背景には説明の難しさもあるようです。
一般の人にREITと言っても、直ぐにはピンとこないので、その仕組みから始めて、価格の根拠や配当金の推移等を説明するだけで10分は必要でしょうから、電話セールスでは扱えないのだと思います。
こう考えると、証券会社や銀行の窓口でも同じことが言えると思います。
顧客にREITを紹介するとなると、手間が掛かりますし、データも必要になるでしょうから、指名買いの顧客以外にはREITを勧めることはなさそうです。

福島原発を契機にして電力株が不安定になっており、配当目当ての株式が少なくなりつつありますので、本来はREITが注目を浴びても良いはずです。
REIT35銘柄の平均配当利回りは年5%台前半になっていますし、35銘柄の中から投資適格と思われる銘柄だけを選び出しても、平均配当利回りは年5%弱です。
また実績配当金で見ても、35銘柄の平均値は過去12回の決算で変動率は20%程度に収まっています。
即ちある程度銘柄を選べれば、配当金が半分になったりするケースはないですから、インカム型投資商品としては十分に合格ラインだと言えます。
従って、データを示して説明すれば、投資家にとって十分魅力的なのですが、残念ながらそのようなデータは公表されていませんから、説明材料がありません。
REITが創設されて今年で10年になりますが、依然としてREIT投資のインフラ整備は不十分のままですので、そろそろREIT投資情報の整備に着手する必要がありそうです。
勿論、電話セールスの対象になるのは困りますが、10年分のトラックレコードを使って、もう少し分かりやすい説明が出来るような工夫をすることが求められます。 その意味では、REITが協調してデータ作成を行い公表することも必要になるのではないかと思います。

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