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2009. 9. 4.Up Dated.
J-REIT実務セミナーを終えて

 8月31日のJ-REIT実務セミナーを終え、少しほっとしています。
今回のセミナーでは大量のデータを添付したので、その準備に大変時間が掛り、デイリーの仕事がおろそかになってしまい、現在はそのリカバリーに終始しています。
この実務セミナーは年4回程度定期的に開催していますが、お陰様で毎回定員を超える参加申し込みを頂いています。
実務セミナーに参加される方は、従来は、REIT関係者・金融機関・シンクタンク等のREITに直接関わる仕事をしている人が中心でしたが、昨年後半からは、個人投資家の方の参加も増えています。個人にとってセミナー参加費(25,000円)は結構な負担になりますので、それなりの効果がないと躊躇するはずです。
私のセミナーでは、REIT銘柄の投資判断に直接言及することはありませんし、どの銘柄が投資適格という解釈も致しません。
データを使った銘柄の現状分析と問題点の抽出が中心ですので、個人投資家の方は、このような内容を参考として、自らで銘柄を選んだり、又は投資している銘柄の可否を考えることになります。特に今回のセミナーは、財務データを駆使した銘柄分析と比較でしたので、やや専門性が高くなります。
それでもセミナー後のアンケートでは難し過ぎるという意見はありませんでしたので、内容的に理解されている方が殆どのようです。

私のREIT分析は、昨年から2つの方向がメインとなっています。
一つが「財務分析データを使った銘柄比較と問題点の整理」、次が「保有不動産のパフォーマンスの時系列データからの比較」です。
セミナーでもお話しましたが、時系列データは量も多いので、直ぐに理解するのは難しいのですが、そのデータを何度も見返すと、徐々に色々な点が見えてきます。
財務データからは、資産運用会社の考え方やREITに対する理解度の違いも浮かんできますから、それを投資判断に含めることが出来ます。
又、保有不動産のデータからは、オフィスビル・商業施設・レジデンス等の用途の違いに因る、賃料変化や稼働率の傾向も読み取れます。
新聞等ではマクロの見方しか掲載されませんから、投資目的に合わせた見方としては必ずしも適切ではありません。常識として不動産を理解するのには、マスコミの報道でも足りるでしょうが、投資判断となると充分ではありません。
この辺りがREIT投資の要諦で、一般常識で投資を行う株式と異なる点です。
勿論、株価は理論では形成されないという見方も出来ますから、売買によるキャピタルゲインを目的とした株式投資では、それでも良いでしょうが、REITのようなインカムゲイン投資では、理論的な見方が優先されます。
私は2001年のREIT誕生から一貫してREITを分析していますが、このスパンで見ると、投資口価格の推移は理論的な見方とかなり合致します。
又、理論的な見方のメリットは、現実と異なった場合、修正が効く点です。
どの部分の見方に誤りがあったのか見つけ出せれば、次の精度が高まりますから、これを繰り返していけば、理論と実態の距離が縮まります。
こういうプロセスを繰り返して投資を実践出来るのが、REITの最大の面白さではないかと考えています。

 
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