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2008.12.26.Up Dated.
2009年の展望

 年末は、来年の予想という内容の記事があちこちの経済誌に掲載されていますが、特に今年は目立つように感じます。これは景気がマイナス方向に大きく振れ始めていることと、不透明感が増しているせいかもしれません。
私もいくつかの雑誌に2009年の不動産の状況等について寄稿しましたが、これらの原稿を書いている際に感じることがあります。
それは、今の景気の状態が過去に比べると大分様子が違うことと、感覚的にもあまり深刻になれないという事です。

私の記憶にある不況は、神武景気以前の不況から始まり、第1次オイルショック、第2次オイルショック、そしてバブル崩壊による不況です。
神武景気以前の不況は子供の頃でしたので、親から聞いただけですし、街に浮浪者が増えたという記憶しかありませんが、その後の不況は既に社会人になっていましたから鮮明な記憶として残っています。
そして、これらの不況時に比較すると、今回は感覚的には大きな不安を感じないのです。
この違いを理屈で言えば色々と挙げられますが、それよりも皮膚感覚での違いを意識しています。
オイルショックとバブル崩壊はネガティブな事が多かったのですが、今回はそれに比べるとポジティブな感覚があります。これを上手く表現出来ませんが、何となく時代が変わって行く予感がします。
第2次大戦後の日本の大きなトレンドは高度経済成長で、その流れはバブルで頂点に達しましたが、その後の不況でも本質的には変わっていませんでした。

それを今回の不況が大きく変える予感がします。
何処がどう変わるのかは一言では言えませんが、少しずつベターな方向に向かうのではないかと思います。
勿論、それが個々人の生活や未来にとって全て望ましい方向だとは言えませんが、時代が変わるというのは若い人にとっては大きなチャンスになります。
団塊の世代から上は、高度経済成長の中で生き、そして老後もその残滓で生きるという形になりそうですが、その下の世代は、異なった時代の中で生きるような気がします。
特に、20代・30代の人は、私たちが経験した世界とは違う時代を生きる事になりそうですから、新たな価値観を見つける必要があります。
こういう話になると、私の専門分野では手に負えませんが、少なくとも経済論や経済学にも哲学という芯が必要になるのではと思います。
こんなことを書くと怒られそうですが、芯のない経済論は講釈師に過ぎないとも思います。
たとえどのような論法や数学的手法を駆使しても、結局は事象を追うだけのことですし、それは知識のレベルでしかありません。
若い人は、こういうレベルから抜け出してもう一つ上の次元を目指して欲しいと思いますし、それはまたこれからの時代に生きる術ではないかと考えています。
 
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