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2008. 9.12.Up Dated.
投資口価格の動きと投資家構造

 J-REITの投資口価格の低迷が依然として続いていて、先週末の9月5日には東証REIT指数は1,114.04まで下がり、指数が創設された2003年前半の水準まで戻りました。
ここまで下がるとは誰も予想していなかったと思いますが、今の状況は投資家構造によって加速されている面があります。

J-REITの投資家構造を日本ビルファンド投資法人の直近決算期(08年6月期)で見ると、次のようになっています。
        信託銀行 31.60%
地方銀行 8.40%
その他の金融機関 11.30%
小計 51.30%
外国法人 33.40%
国内法人 8.30%
個人 5.90%
証券会社 1.10%
※構成比率は口数比

この保有比率を見ると、決算期毎に保有投資口の再評価をしなくてはならない法人が大多数を占めていて、減損処理の必要のない個人は僅か5.9%です。
企業は四半期毎の中間決算報告が義務付けられていますから、昨年6月から連続して投資口価格が下がっているJ-REITは、再評価の度に評価損が計上されてしまい、保有し続けるのが困難になっています。従って、一度下落を始めると、売りが加速して更に下がると言う悪循環に入ってしまいます。

日本ビルファンド投資法人の例で見ると、投資家が市場から投資口を買っていた場合、その時期が昨年であれば、減損処理の対象になっている可能性が高いので、恐らく売りに走ります。
また、増資を引き受けていた場合は、今年2月の第4回の増資価格が1,205,400円/口、平成18年3月の第3回増資が1,019,200円/口ですから、仮に投資口価格が100万円/口を切ると、売りが加速してしまう危険性があります。

本来、J-REITはインカムゲイン狙いの長期投資商品ですが、企業の場合は、減損処理があるので、投資口価格の変動が大きくなれば保有し続ける事が困難になります。
実はこの事はJ-REITの創設段階で議論されていて、そのため主として個人投資家向けの商品として開発された経緯があります。
実際に、2002年頃の主要投資家であった地方銀行は、投資口価格のボラティリティを小さくするために、個人投資家比率を引き上げるよう資産運用会社に要請していました。
然しながら、直接個人投資家にアプローチ出来る手段も少なく、又、それは証券会社の分野であるという言い訳で放置されました。
今になると、結局この頃に個人投資家重視で動かなかった銘柄側が招いた危機だとも言えなくはありません。
勿論、42銘柄の中には個人投資家重視で活動している銘柄もありますが、老舗銘柄の腰が引けていた事がJ-REIT全体の傾向を作ってしまった面があります。
世の中を結果論として考える人達も多いのが実状ですが、長期のスパンで見れば論理的な動きが主流になりますので、今の状況を奇貨として、もう一度J-REITの原点を見詰めて考え直す事から始めて欲しいと思います。
 
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