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2008. 1.25.Up Dated.
予測と現実

 米国サブプライムローン問題を発端とした信用収縮が世界の株安にまで至りました。
実はこのような状況は、昨年夏に一部の媒体を通して問題提起をしていましたが、あまりにも悲観的で、且つ、憂うべき状態になるので、コメントを少なくしていました。
私は、エコノミストではありませんし、又、大きな影響を与える程の立場でもありませんから、特に気にすることはなかったのですが、予測した結果が嫌な内容だったので、セミナー等で簡単に触れる程度にしていました。
読者の方の中には覚えている人も居るかもしれませんが、昨年夏の「AERA」特集に掲載した不動産価格のピークアウトの予測もこの時期に組み立てたものです。
これらの私の予測は特に秘訣がある訳ではなく、問題を論理的に考えてその影響の範囲と大きさを予想することで組み立てますので、思考に時間を割ける方であれば誰でも出来る方法です。
然しながら、多くの投資家は色々な仕事に携わっていて将来の予測に多くの時間を割ける状況ではありませんから、少しずつ事態を理解していく過程を辿ります。その結果、現実は予測よりはやや遅れて起こります。
一方、論理的予測が的中するのは、新興国を含めて世界的な教育水準の向上に因ります。
今や投資市場に関わっている人の大半は高い教育水準にある方です。時間の差こそあっても思考パターンは同じ方向に向かいますので、論理的予測が当たり易くなっています。

それではこれからの予測はどうか?ということに興味を惹くと思いますが、私のフィールドであるJREITに関しては、昨年の秋から述べていますが、今年は淘汰と成長がまだら模様に起こり、投資家から見ると発展なのか消長なのか判別し難い状況になると思います。
但し、私の見方は「成長のための踊り場」という事ですので、過度に心配する必要はありません。
マクロ経済もしばらくは揺れ動くものの、サブプライムローン問題に慣れてきて慢性化することで徐々に影響が薄れていきそうですから、投資市場は再び活性化すると思いますが、今度はリスクをもう少し慎重に見るようになるのではないかと思います。
この動きが始まった時に、JREITに成長のための淘汰が生じているという状態は、かなり有利になります。
又、日本の不動産価格(特に、JREITが保有している不動産)は、欧米に比べれば充分に健全な状態にありますから、リスクに慎重になった投資家にも選ばれる可能性が高いと思います。

これが私の予測ですので、このためにはどうしてもJREITの淘汰が必要だと考えていますので昨年からサバイバルを喧伝しつつ後押しているのです。
果たして、この予測が現実になるか否かは分かりませんが、今までの傾向で見れば当る確率が高いのではと考えています。
 
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