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2007. 9.28.Up Dated.
金融商品取引法における商品説明義務

 この9月30日より、金融商品取引法が本格施行されますが、規制対象となる金融商品の販売サイドの動きを見ていると、宅地建物取引業法で不動産売買の際の重要事項説明義務が付されたときの事を思い出します。
このときも不動産業界は大慌てになりましたが、当時不動産販売代理業務をしていた信託銀行では、これで売主に対して必要な情報提供と問題の解決を求められるというプラス効果に期待していました。又、売り主側も、重要事項説明義務によって差別化が可能となるという考えもありましたが、果たして、今回の金融商品取引法では、証券会社や運用会社等はどう捉えているのでしょうか。
投資家が一般とプロに区別され、説明義務が異なるのも宅地建物業法の重要事項説明義務と同じですが、投資商品におけるプロの定義は簡単ではありません。
宅地建物取引業法では、宅地建物取引業免許保有者をプロとしますが、金融商品取引法では範囲が広がっています。従って、金融商品取引法ではプロに分類されても一般投資家並みの説明を求める投資家も居るようですが、JREITに関してみれば、プロの投資家というのが俄かに思い浮かびません。
国内のJREIT大口投資家である金融機関(主として地方銀行)もプロ扱いとなるのでしょうが、彼らは、個人等の預金を原資として運用している主体ですので、金融庁もこれを機にプロとしての自覚と努力を一層促して欲しいと思います。
私は、地銀等の大口投資家と接触する機会は少ないのですが、何度か会った時は全て証券会社が同道していましたから、恐らく証券会社から情報を得ているものと思われます。
そんな事から独自で情報収集したり分析したりしている地銀があるのかという疑問があります。
私が行う専門家向けセミナーでも地銀の参加はほとんどありませんし、このサイトで主宰している情報提供サイトへの加入実績もありません。 勿論、他のセミナーや何処かの情報サイトからJREIT情報を入手しているのだと思いますが、それでも、過去7年に亙って活動している私が、地銀の人を滅多に見かけないというのは不思議です。
彼らは、JREITの資産運用会社から定期的に説明を受けていますからそれで充分だという考え方も出来ますが、サプライサイドだけの情報で土地鑑の乏しい東京圏の不動産投資の是非を判断するのには疑問が残ります。
今までJREITは一貫して上昇基調にありましたから、それでも良かったのかも知れませんが、調整局面に入った現在、何を根拠に投資し売買しているのでしょうか。
 
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