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2007. 2.22.Up Dated.
J-REITに最も聞きたいこと


 投資法人の決算説明会は半年毎に行われ、そこで決算内容と今後の投資方針等の説明が行われます。 また、説明会に出席した証券アナリスト等の方から質問によって、補足説明を行いますが、最近の決算説明会では少しずつ物足りなさを感じています。全銘柄の決算説明会に出席している訳ではないのでJREIT全てとは言えませんが、どの決算説明会も似たり寄ったりであまり新味を感じません。
投資家にとって最も聞きたいのは、これからどういう方向を目指すのかという点だと思いますが、配当金額の水準や資産規模等の数字的な目標は掲げるものの、その背景となっている考え方はあまり聞けません。
その理由として、どの銘柄も株価に付いてはほとんど触れませんので、現在の株価をどう評価し、どういう方向へ持って行こうとするのか、そのためにはどういう事をするのかという説明がないからです。

今やJREIT投資家が最も気にするのは株価であり、銘柄の相対的な位置関係だと思いますが、資産運用会社はこれらの事に対しては慎重な発言に終始しています。
本来であれば、自分達の評価でもある株価に対する考え方を開陳し、それをどのように誘導したいのかという事は投資家にとって是非聞きたい内容です。 せめて現在の株価水準についての見解を述べ、更に相対的位置についてどう考えているのかという説明ぐらいは欲しいものです。
例えば、100万円/口台の銘柄が、今後、日本ビルファンド投資法人に追いつこうとするのか、それとも、現在の相対的位置をキープするのかという話も聞きたいところです。
勿論、上場歴の浅い新興銘柄には無理な注文だと思いますが、せめて10番目銘柄ぐらいまでは言って欲しいとも思います。

次に、最近オフィスビル・マーケットの好調を受けて、賃料改定実績の説明が増えていますが、循環的に起こるマーケットの変動に対してJREITがどう対応すべきかという説明がありません。
賃料が上がれば、配当金原資が増えますので、目先はそれでも良いですが、次に訪れる下降期への備えも必要です。
過去の不動産市場を見れば、循環的な変動を繰り返すのは必至ですが、往々にして、好調期は収益追及にのみ目を奪われがちになります。 将来の備えやマイナス環境への対応は、好調時にしか手を打てないのですが、これらを確実に実施する企業は稀です。
JREITのように長期投資商品として登場した主体では、循環的な景気変動に対する考え方と対応が必要ですが、かつて景気が低迷していた時に比べると、今はこの趣旨に沿った説明が激減しています。

以前にもコラムで書きましたが、投資家の資金を預かって運用しているREITでは、常に現状を懐疑的に見て、将来の心配をするという姿勢が要求されます。
銘柄側がこういう姿勢を維持すればこそ、投資家は安心して投資を続けられるとも言えますので、マーケットが好調なこの時期に、もう一度JREITの原点を戻って体制や運用方法をチェックして欲しいと思います。

 
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