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2006.12.14.Up Dated.
最近のJ-REIT株価について


 JREITの株価がここにきて上昇しており、日本ビルファンド投資法人の株価は150万円/口を越えてしまいました。 12月13日の株価(154万円/口)だと予想配当率は2.40%となります。 これは、年内の金利引上げなしという予想から、長期金利が下がった事とも関係していると思いますが、それにしても150万円越えは冒険的過ぎるとも思います。更に、株価が100万円/口を越えた銘柄が8銘柄になり、一部の銘柄に人気が集中して、ますます上位と下位の銘柄格差が広がり、単純に株価で比較してもトップと最下位では3.6倍になりました。 又、予想配当率で見ても、トップ銘柄と最下位銘柄では3倍の開きがありますから、JREITという仕組みから見れば、これだけの格差を生じる必然性は乏しいはずです。
この状況を客観的に見ると、銘柄毎の格差というよりは、投資対象として見られている銘柄と投資対象としては振り落とされている銘柄という分別が起こっているという見方も出来ます。
このような状況が同じ取引市場で生じているのは好ましくありませんので、本来は別の市場で取引される方が投資家にとっては分かり易いのではとも思います。 然しながら、既に東証が上場承認した銘柄を一部と二部に再振り分けするのは現実的には無理だと思いますが、このまま銘柄格差が広がり固定化してしまえば、とても同じ投資商品だとは言えなくなります。

JREITは未だ発展途上ですから、今後の投資家層の拡大と多様化はどうしても必要です。 中でも、個人投資家層の拡大と浸透が大きな課題ですが、今のJREIT市場の状況では、更に投資判断が難しくなり、個人投資家の離反を招きかねません。
JREITはインカム・ゲイン型の中長期投資商品だという考え方に立てば、一部の人気銘柄に投資が集中し、株価を急上昇させるのは理屈に合いません。 いくら優良な銘柄であっても、配当金が大きく上昇する事はありませんし、収益の安定度が抜群に違うという事も言えませんから、上がりすぎた株価は銘柄の本来の評価とは違う次元で株価調整が起こり得ます。
「それが投資である」という事も言えますが、元々、JREITは株式投資と違いますから、売買のタイミングによるリスクを膨らませるのは避けるべきなのです。 又、ここ1・2年で投資信託のJREIT取引シェアーも増えましたから、投資信託を通じてJREIT投資をしている投資家も多くなっていますが、この状況で果たしてインデックス投資を続けても良いのかという疑問も生じますし、投資信託の商品特性が変わってしまう恐れもあります。 郵便局や金融機関の窓口で購入した投資家がJREITの状況を冷静に分析出来ているとは思えませんし、また、販売側から適切なアピールが為されているとも考えられませんので、このまま放置するのは今後の問題を大きくし、且つ、リスクの実現を早めてしまう可能性もありそうです。

 
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