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2006. 1.19.Up Dated.
J-REITの株価と資本政策
  
年末から年始に掛けて一部の銘柄の株価が100万円/口を付けています。
従来からJREITの株価は100万円が壁と考えられているようで、過去に何度かトライしながら市場の反応を試しているようにも思えます。
従って、今回の100万円もどの位続くのか分かりませんが、冷静に考えれば、JREITにとってあまりの株高は、資本政策を難しくします。
JREITという仕組みは、株式とは違って増資が定期的なイベントになり、1年〜1年半単位での増資が不可避です。
従って10年間で7回〜10回位の増資が行われる勘定になりますので、株高の状態で増資を行えば、その後の増資では従前のPO価格を下回った増資になる事もあり得ます。
仮に、100万円/口の株価の銘柄が96万円で増資を行ったとすれば、次回の増資では株価が 100万円を越えていなければ、前回のPO価格を越えることは出来ません。
更に、その次の増資、次々期の増資と考えていけば、株価が無限に上昇しなくては増資を引き受けた投資家は含み損を出してしまいます。
将来、JREITの株価が金利上昇等によって大幅に調整されたケースを想定すると、100万円の株価でのPO価格を数10万円単位で下回る可能性もあります。
このように考えると、JREITは株価が頂点を極めたと喜んでいる場合ではありませんし、逆に、自らの資本政策を難しくしてしまいます。
好んで高株価銘柄へ投資している大口投資家もこの事は承知しているはずですから、株価が下がらない内に売り抜けるという手段を採るしかありません。
高株価銘柄の投資主を口数で見ると、金融機関等の大口投資家比率が高くなっていますので、高い価格でPOが行われた銘柄は、JREITの株価が軟調になった初期段階で大口投資家の売り抜けによる下落も想定しなければなりません。
こうなるとJREITも株式のようにチキンレースになってしまいますので、本来の姿からは遠ざかります。
投資法人及び資産運用会社は「株価はOUT OF CONTROL」と考えているようですが、資本政策はJREITの仕組みを考えれば重要な問題です。
増資を引き受けてくれた投資家に対して、損をしたのは株価のせいですと言うのは不誠実だとも思えますので、株価云々ではなく資本政策として投資家のリスクを考える必要があります。
JREITを10年以上のスパンで考えるならば、株高で且つ収益用不動産価格が高騰しているこの時期では、外部成長も抑制して増資を控えるのも一つの資本政策です。
又、逆に、低株価に晒されている新興銘柄等は、この時期に内部充実を図り、投資家に大きな損を出させない資本政策を考えるタイミングでもあります。
特に、レジデンス銘柄では、株価を追わずに着実な質の充実を図り、投資家にとって将来の状態がイメージし易い方向へ向う事が必要だと言えます。
耐震偽装問題で株価が下がっているのは嬉しくはないでしょうが、「禍転じて福を為す」というプラス思考も必要だと考えています。