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2005.12.29.Up Dated.
05-06年のJ-REIT
  
2005年のJREITを振り返ってみると、6月までの市場と7月以降のそれとは大分様相が違いました。
6月まではJREITのどの銘柄も順調に株価を伸ばし、市場の過熱感を心配する状況でしたが、7月半ばに大きく反落し、更に、新規上場銘柄の公募価格割れも加わってJREIT銘柄の優勝劣敗が始まりました。
それに加えて、耐震偽装問題が発覚した事で、特にレジデンス系銘柄への見方が一層厳しくなって、現時点では総じてレジデンス系銘柄の株価が軟調になっています。
05年前半と後半の株価推移は、JREIT市場の熟成過程の一つの現象とも言えますが、耐震偽装問題は、JREITにとって本質的な問題を改めて提議することになったと思います。
JREITのような不動産証券化商品は、従来のように土地の価値だけに依存するのではなく、建物から生じる収益によって投資商品として存立していますので、元々、収益の源泉である建物の品質は重要な問題でもあります。
投資対象となる建物の品質や性能がJREITの土台である事を今回の耐震偽装問題に揺れるレジデンス銘柄の株価が教えてくれましたので、これを奇貨として、各銘柄が改めて建物の性能や品質に神経質になることはJREITの将来にとって大きなプラスとなります。
又、投資家にとっても会計上の結果である配当金だけを見るのではなく、保有資産の質についても見極めていかなくてはならないという方向に向かうことになれば市場が更に熟成していくことになります。
その意味では、05年のJREITはこれから先のJREITの基盤を固める1年であったとも言えますが、果たして、06年はこれらの教訓が生かされることになるでしょうか。

06年のJREITは、今年の新規上場銘柄にとっては、まさに正念場で、銘柄の存続を掛けてサバイバル競争を行う事になりそうです。
更に、06年には大手企業を設立母体とした新規銘柄の上場が続きそうですので、既存銘柄、05年の新興銘柄、06年の新規上場銘柄の三つ巴の競争になるかも知れません。
投資という視点で見れば、市場が競争により活性化し、優勝劣敗が混沌すればする程面白味が出てきますので、06年はJREIT投資家にとっては楽しみな年になるとも思えます。
一方、銘柄の選択肢が増える事で、ポートフォリオの構成によってリスク分散を図ることも可能になりますので、どういう銘柄、どのようなセクターの組み合わせをミックスするかも考える必要がありそうです。
このように考えると、06年のJREITは投資家・銘柄双方にとって次のステップに移行する時期なのではないかと考えられます。
JREITの本質を考え、不動産のリスク・リターン特性を計り、それを投資行動に、又、資産運用に生かすこと出来るが否かが06年の行方を左右するのではないかと言えますので、投資家・銘柄側双方の動きに期待したいと思います。