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2005. 9.22.Up Dated.
地価調査結果について
  
先日、国交省から発表された都道府県地価調査では、東京都心部の不動産価格が上昇しているというレポートがありましたが、この状況は、地価調査以前から分かっていたことであり、何を今更という感があります。
又、前にもこのコラムで書きましたが、地価調査という名目で税金を使う必要があるのかという疑問があります。
既に、不動産価格は地価ではなく、建物から生じる収益によって決まるという傾向が大型の不動産取引の半分を占めるようになっている現在、地価という土地価格のみを調べる事に何の意味があるのかいう問題があります。
仮に、このような調査を民間が行うとしたら、地価ではなくキャップレート(NOI利回り)を調べると思いますし、恐らくこちらの方が調査費用も少なくなりますし、取引実態により近くなります。
更に問題なのは、JREITを含めたファンドは投資家のリスクにおいて不動産投資をする仕組みですが、行政が地価上昇を謳うことによって、ファンド側が不動産を高値で取得する理由になってしまいます。
これは見方によっては、行政が投資市場に介入する事になります。
行政の調査によって、ファンド側が高値取得を続ければ、その結果、投資家のリスクは増大しますので、仮に、将来これらの動きによって投資家が損失を蒙ったとしたら、一体誰の責任なのかと思います。
ファンドがどのような不動産をいくらで買うかは、投資家利益を前提にして検討すべきことであり、わざわざ行政側が言い訳を与える意義が分かりません。
既に、JREITや私募ファンドを通じて不動産は金融と結び付き金融商品化しているのですから 行政の縄張りの中でしか考えない意識では社会に対してマイナス作用をもたらします。
一方、投資家にとって、今必要な事は、地価がどうこうという事ではなく、自分たちのリスクがどのように変化していくのかという事です。
価格が高騰している地域でわざわざ高値で取得することが、投資家利益に叶うのか、それとも、しばらく取得を見合わせて、現在の配当金を維持する内部成長に注力してもらうのかを考える必要があります。
JREITのように転売型でない仕組みでは、高値取得のデメリットは保有する限り付いて回りますので、JREIT投資家にとってはより重要な問題です。
又、投資法人側も他人(投資家)のリスクで投資しているですから、今の状況での不動産取得には
 @ 将来の価格下落リスク
 A 資産全体の収益利回りの低下リスク
について説明すべきです。
これらのリスクを負っても、尚、投資家利益に叶うという説明をすることが当たり前ですが、残念ながら、そのような説明をする銘柄はほんの一部です。
昨日開催された投資家セミナーでも、個人投資家の方からこの趣旨の質問がなされましたが、今の状況では、投資家は自分たちのリスクを認識して、銘柄側に注文を付けることが必要です。